静悟の文学的空間

小説、読書感想、宮座賢治などについてのブログ

2021-07-01から1日間の記事一覧

黒猫物語2 図書館という選択肢

翌日僕は図書館にいた。星の王子さまの原文版と何冊か小説を借りた。そして昼間はずっと図書館のソファに座って読んでいた。12時頃お腹が空いたので近くの弁当屋で昼食を買って、中庭で食べていると、鳩が弁当を狙って足元をうろつき出した。さすがにここ…

黒猫物語

月灯の下でドイツ語の勉強をしていると、ふと気になって窓の外をい見た。12月の寒気が広がる夜の暗闇は静かで、人気がない。何となく散歩でも行くかという気になった。寒さに思わずジャケットで包んだ身体を抱きしめた。どこへ行くかな。真珠庵公園でも行…

人であること

植物園をぐるっと回って僕はお気に入りのベンチで本を読む こんな毎日が続けばいいと のんびりと風を肌で感じながらしみじみと思うのだった ふと動かない植物になりたいと願っていた頃の事を思い出す けれど今は人間であることを少しは肯定的に思えるように…

孤人物語 完

紫と青を混ぜて描いていた。絵を書けば何かが変わるのではないかと思った。鴨川と大文字山の森を描いていた。何十枚も描いて、何となく創作を中断し、料理を作ることにした。豆腐と魚の味噌汁をさっと簡単に作って、じいちゃんのいなくなった座卓で食してい…

孤人物語 

山をひたすら登っていた。透き通る水面を眺めながら立ち止まっていた。山中他界。湧き水が飲める場所があった。自販機のペットボトルの水とは全然口当たりが違う。ほんの少しだけ煮詰まった脳が軽くなった気がした。 体力の限界は遥かに超えていた。頂上まで…