静悟の文学的空間

小説、読書感想、宮座賢治などについてのブログ

ブルースター

英文法の参考書を傍らに置いて、少し休憩することにした。時計を見ると、丁度一時間くらい勉強していたことになる。国語に比べて英語はどうにも苦手だった。まだまだ長文読解で躓いてしまうことが多い。
コポコポと電気ケトルから紅茶を煎れて、誰もいないリビングで少し休憩することにした。受験勉強なんてさっさと済ませてしまって、好きな文学を読みふける時間に戻りたい。最近疲れているのか、そんなことを考えるようになった。7月だから、本番までは後半年ほどある。ちらっと時計を見ると10分程経っていた。さて、次は日本史の勉強でもしますか。

山川の教科書を片手に論述問題をやっつける。センターなら大体正解できるのだが、2次試験の問題にはまだ充分に正解できない状態だった。もっと教科書読み込まないとな。まあ、まだ半年あるから何とかなるとは思うが。それからしばらく日本史に加え、世界史とも格闘しつつ、いつものように、母が帰宅するまで勉強していた。
「ただいまあー」
母さんが帰ってきたようだ。僕は勉強を中断して階下に降りる。
「お帰り」
「悟。今日のご飯、お母さん疲れたから、どこかで食べてきてくれる?」
母さんは出版社に勤めていて、たまにこんな風に疲労困憊で帰ってくることがあった。
「分かったよ。お金頂戴」
「はい。これ」
5000円貰って、余った分は本でも買おうかなと思った。何か息抜きになりそうな、文庫本でも買ってこよう。
昼間集中して勉強していたので、夕方からはちょっとゆっくりと好きな事でもやろうと思った。ツイッターを開く。
「今日は外食です」
すぐにリプライが返ってきた。
「いいなあ。何食べるの?」
智花だ。
「奢るから一緒にパスタでも食べないか?一人で食べるのもなんだし」
「勉強教えてくれるならいいよ」
「分かった。じゃあ、駅前のサイゼリヤで待ち合わせな」