静悟の文学的空間

小説、読書感想、宮座賢治などについてのブログ

孤人物語

孤人物語 完

紫と青を混ぜて描いていた。絵を書けば何かが変わるのではないかと思った。鴨川と大文字山の森を描いていた。何十枚も描いて、何となく創作を中断し、料理を作ることにした。豆腐と魚の味噌汁をさっと簡単に作って、じいちゃんのいなくなった座卓で食してい…

孤人物語 

山をひたすら登っていた。透き通る水面を眺めながら立ち止まっていた。山中他界。湧き水が飲める場所があった。自販機のペットボトルの水とは全然口当たりが違う。ほんの少しだけ煮詰まった脳が軽くなった気がした。 体力の限界は遥かに超えていた。頂上まで…

孤人物語 僕という人間

天涯孤独 いつものように自室のゆったりとしたソファに深く沈み込んで何時間も集中して本を読んでいると、目の前の山積みの書物から一冊がドサッとこぼれ落ちた。何が落ちたのかなと思って見てみると、漱石のこころだった。こころは漱石の中で一番気に入って…