救われる者2
不調
ネットの情報を見ていると高校二年から不登校になる人も一定数いるらしい。一年生の間は通えていたのに、二年になって途端に行けなくなる人。どうやら僕もその例に近い人種のようで最近ストレスによる不具合があちこちに現れてきていた。何だか、前にも増して無気力になったり、イライラしたりするようになった。体の調子もあまり良くない。学校までの道のりが遠く思えるようになってしまった。丁度良い口実が出来たので、この頃は堂々と保健室へ行くようになっていた。
ベッドで寝転がりながら、スマホをいじる。蒼と百花にメッセージを送って寂しさと退屈さを紛らわしていた。
「ごめん。僕は卒業できないかもしれない」
「困ったわね。お医者さんには行ってみたの?」
「医者はあまり好きじゃないんだ。多分、行っても治すことは出来ないだろうしさ」
「何か気分転換でもしてみたらどうだ?何日か学校休んで好きな事をしてみるとかよ」
「そうだね」
二人とも心配してくれて、授業の合間にこうして返信をくれる。しばらくして二人は授業に戻っていった。僕も大人しくベッドの上で一人静かにスマホでKINDLE読んでいた。そうこうしてる内にいつの間にか眠っていたらしい。目を覚ますと机に先生からのメモがあった。
「会議に出てくるから起きたら早めに帰宅しなさい。後日ちゃんと病院に行くように」と。言われた通り今日はさっさと帰ることにした。
何だか最近やたらと眠くなる。鬱とか心の病気なんだろうか。ぐーすかと家でも夕飯時に母さんに起こされるまで眠りこけていた。
目を覚ましてスマホを見ると案の定蒼と百花からメッセージがきていた。
「具合はどうだ陽太?」
「さっきまでずっと寝てたよ」
「あなたは人一倍繊細なんだから、やっぱり専門家に相談した方がいいわよ。こないだ言ってたカウンセラーさんの所にもう一度行ってみるとか」
「・・・そうだね。多分また母さんに連れて行かれると思う。所で二人共時間あるならまたSkypeでもしない?」
本を読む気にもなれず、退屈だったから誰かと話がしたかった。
「いいぜ」
「私も今日は習い事も終わって時間あるからいいわよ」
「じゃ、今からログインするよ」
僕は机に向かい、パソコンを起動させた。
「よう」
「こんばんわ」
「陽太、今日学校には行ったの?」
「うん。保健室で寝てたけど」
「そうか。俺も授業中寝てたいぜ」
「私も。まあ、私達皆学校嫌いだしね。ストレス溜まってるのは三人共同じか」
「帰ってからは何してたの?」
「俺はギター弾いたりアニソン聴いたりちょっと作曲進めたりな」
「私はユング心理学の本読んでたわ。ほら、陽太が病気でカウンセリング受けてるっていうからちょっと興味を惹かれてね。知識があったら陽太の相談に乗ってあげられかもしれないから」
「そっか。百花は優しいね」
「そうでもないわよ」
「俺も読むかな。何て本だ?」
「河合隼雄先生の本よ。知ってるでしょう?有名なユング心理学者の人。取りあえずユング心理学入門ってのを読んでみたけど」
「ああ、京大の教授ね。本屋で見たことあるな」
「読みやすくて結構面白いわよ。不登校の話も沢山出てくるし」
「ふうん」
「でもね、陽太。真面目な話、あなた無理して学校行かない方がいいんじゃないかしら?これ以上症状が重くなって、体にまで症状がが出たら大変よ?」
「うーん。そうなんだけどさ・・・」
「親がうるさいのか?」
「そうでもないけど、休んで家にいるのもちょっと苦痛かもと思ってさ。一人きりだし」
「んじゃ、どっか旅行でも行ってきたらどうだ?お前、旅してみたいっていつか言ってたじゃん?」
「旅か。でも一人で旅っていうのもなあ」「じゃあ、皆で学校休んで旅行でも行きましょうか?」
「マジで?」
「僕だけじゃなくて二人も休むってこと?」
「まあ、二泊三日くらいならいいんじゃない?皆で温泉でも行きましょうよ」
「まあ、俺ん家は放任だから何とかなるけど、百花は大丈夫なのか?」
「研修旅行ってことにしといたら多分親にはバレないと思うわ」
「いいね。皆とは一度顔合わせしてみたいと思ってたし」
「じゃあ、行くか。今度の週末にでも」
そういうことにまあなった。
旅
京都駅の新幹線乗り場の改札口前で二人と待ち合わせすることになった。あれから色々話し合った結果取りあえず新幹線で博多まで行って泊まるのは別府温泉にしようということになった。ネットで大分県の観光情報を一通り調べて、どこのスポットを回るかも予めある程度決めて、皆初めての旅行を楽しみにしていた。僕の療養のために百花と蒼まで学校サボらせて何だか悪い気がするとは思ったものの二人と実際に会えるのが楽しみで仕方なかった。時計を見るとそろそろ待ち合わせ時間だ。いよいよ初対面かと思うとドキドキした。ネット上では付き合いだして既に2年以上になるけど、リアルで会っても仲良くなれるだろうか、という不安はあった。二人の顔すら僕はまだ知らないのだ。写真でも見たこと無い。どんな顔してるんだろうなと思いながら、スマホをチラチラと見て待っていた。
僕の地元で待ち合わせたので僕が一番早く到着した訳だが、待っている時間が妙に長く感じた。そうこうしている内にまた電車が着いたみたいで改札から人が駅内に流れ混んでくる。人の流れをぼんやりと眺めているとスマホが振動した。蒼からのLINEだ。
「着いたぜ。どこにいるんだ?」
心臓が跳ねた。
「改札口の前にいるよ。無地の白Tシャツに、ブルーのジーンズ履いてる」
「OK」
大勢の人が駅へと流れ混んでくるが、どれが蒼だろう、と僕は目を凝らしていた。確か以前に金髪に染めているとは聞いていたが。一人の金髪を逆立てた鋭い目つきの少年が歩いてきた。緑のポロシャツにチノパンという格好で、首にはゴツいヘッドフォンを付けていた。彼と目が合った。
「よ、初めましてだな、陽太」
ニカッと彼は笑った。
「蒼だね?初めまして」
しげしげと蒼は僕を観察していた。
「なんか、思った通りの見た目だな、お前」
「そうかな」
「まさに、儚げな美少年って感じだ」
「蒼も金髪の音楽少年って感じだね」
「まあな」
僕らは会って早々にネットで話すのと同じ感覚で笑い合っていた。
「百花はまだか?」
「うん。そろそろ着くってLINE着てたけど」
「あいつもお嬢様って感じなんかな?」
「どうだろうね」
東京の裕福な家庭で生まれ育った百花はネットで話していると深窓の令嬢というイメージだったが果たしてどんな容貌の持ち主なのやら。
「あ、着いたってさ」
「じゃあもう来るな」
一応、蒼とは既に合流したと送っておいたけど、百花の特徴についてはまだ分かってない。またホームから改札を抜け来る人達の中からそれからしき少女を探す。しかしさっぱり分からない。
「こっちの服装とか教えたのか?」
「なんか分かるからって言ってたから教えてないんだけど」
「なんだそりゃ?」
「こんにちわ」
急に横から声がしたので二人でびっくりして振り向く。白いワンピースを着たサラサラの長い黒髪の可愛らしい顔立ちをした女の子がそこにいた。大きくてつぶらな瞳で鼻は小さく背は少し低めだったが、雑誌にでも載っててもおかしくないレベルの美少女だった。
「百花か?」
「そうよ。初めましてね、陽太、蒼」
百花はニコッと笑った。
「お前、何で俺たちが分かったんだ?」
「蒼は金髪でヘッドフォンつけてるし、陽太は小柄な美少年でしょ?こんな所に突っ立っているそんな人物は多くないわ。後は勘かしらね」
「そっか。でも百花もイメージ通りだね」
「あら、どう想像通りなのかしら?」
「大人しそうに見えてちょっと人を揶揄うような感じの美少女ってとこか」
「それは褒めているのかしら?」
「よく告白されるっていうから可愛いだろうなとは思ってたよ」
「ふふ、ありがとう。ともかく、これで三人揃ったわね。時間も勿体ないし続きは車内で話しましょうか?」
「ああ、じゃあ早速乗るか?」
「そうだね。行こう」
そして僕らは博多行きの新幹線に乗り込んだのだった。
救われる者1
気怠い朝
午前六時。各種教科書と英語と古文の単語帳、それと三冊の小説を鞄に詰め込んでさっと家を出た。よく晴れた五月の日差しは心地の良い眩しさだった。今日くらいはいい日になるといいなと思った。
登校には少し早すぎるが、このくらいの早朝の時間帯が人通りが、それ程多くないので好きだった。道中で学校の生徒達とも顔を合わせずに済むし。途中、公園に立ち寄って野良猫に飲みかけのミルクをやったりしながら何となく時間を潰して今日も学校に行こうかどうしようか迷っていた。昨日は母親に連れられてカウンセラーの所へ行った。妙齢の女性カウンセラーとの面談はお気に入りのボカロとか今期のお勧めのアニメの話をしているとあっという間に一時間経ってしまったのだが、個人的には悪くない感触だと思っていた。なぜか、母さんは家に帰ってからすっかり参ってしまっていたけど。気の合う人だったのにもう行く事はないかもしれないなと思った。近頃ではさっさと家を出て奔放に一人暮らしでもしてみたいと思っている。あの息詰まる家にいるのもそろ限界だから。学校の生徒達は皆楽しそうに青春を謳歌しているというのになぜ僕だけ毎日こんな鬱々とした思いをしているのだろう?前世で何か悪いことでもしたのかもしれないな。
学園
学校に着くと既に七時近かった。と言っても登校してきているのは予習をしている2,3人くらいだ。僕は大人しく隅っこの自分の席で、この間古本屋で買ったバルザックの人間喜劇を読んでいた。さっさと授業が始まって欲しい。授業中は話を聞いているだけで済むからまだ楽なのだが、休み時間は教室に居場所がないから困る。皆が談笑している中僕だけ一人ぼっちだ。学校なんてこの世からなくなればいいと日々祈っていた。
次第に生徒達が登校してきた。皆挨拶を交わしそれぞれの話題に花を咲かせている。うるさくなってきたので本に集中できなくなってきた。まだ一時間目の授業までには時間がある。仕方ない、中庭でも行くか。
私立の学校だからそれなりに設備は充実している。偏差値も結構高いので皆揃って行儀が良い。授業をサボる生徒なんてまあ僕くらいのものだ。教師達からは割と問題児扱いされているのだ。最初は友達がいないからと色々と心配されていたんだが、最近は完全に放置状態だ。さっさと卒業してこんな所とはおさらばしたいものだ。そんな風にいつものようにどうしようもない思考に鬱々として中庭でぼんやりしていると養護の先生が車を降りてきて何かを運んでいた。目が合った。
「おお、少年。ちょっと手伝ってくれ」
重そうな荷物を運んでいる。仕方ない、僕はため息をついて近づいた。
「なんですか、このダンボール」
「冷蔵庫だよ。故障したから新調したんだ」
「へえ」
まあ、女性にはちょっと重いか。手伝ってやろう。
「よっと」
僕は何とか一人で抱えて、保健室まで運んだ。
「さすが、頼りになるね、男の子!」
「はいはい」
鍵を開けて、保健室へ荷物を降ろす。丁度良い、今日はここでのんびり過ごすか。
「冷蔵庫はあるといいよな。そろそろ暑くなるし。少年もお世話になるぞ、きっと」
「そうですね」
自慢じゃ無いが保健室の先生とは小学校以来ずっと友達だ。先生は箱を開けて冷蔵庫を取り出すと、コンセントを差して起動させた。
「うん、問題ない。ちゃんと冷えてるな」
「先生、ちょっと具合悪いので一時間目ベッドで寝てていいですか?」
「ん?さっきまで重い荷物を平気で運んでいたように見えたのだが」
「どうやら風邪をひいたらしくて」
「ふむ。では熱を計ってみたまえ。38度以上あったら、病欠を認めてやろう」
そんな高熱あったら学校なんて来てない。
「まあ、それは嘘ですけど、どうも教室にいるとしんどくなっちゃんですよね。人に酔ってしまうというか」
「まあ、君の場合は今に始まったことではないが、そもそも君は私とならこうして普通に話せるのにどうして教室では駄目なのかね?」
「さあ?割と昔からこうだったんで」
「何かきっかけが必要なんじゃないかね?部活でもやってみるとか。君は本をよく読んでいるのだから文芸部に入ってみてはどうだ?」
「今更ですよ」
「ふむ。そうか」
先生はお茶を煎れてバリバリと煎餅を食べていた。仕事中なのにいいんだろうか?
「億劫ですが、そろそろ戻ります」
「頑張ってな」
不真面目だけど良い先生なんだよな、この人。僕は保健室を後にして重い足どりで自分の教室へと戻った。
授業中適当に聞き流しながら、バレないように手元で今度は太宰の小説を読んでいた。高校の授業なんて至極詰まらないから仕方がない。この間本屋で全集が売っていたから読んだことのないやつを全部まとめて買ったのだ。しばらくは楽しめそうだ。
お昼休み。いつも通り僕には一緒に食べる相手なんていないから、コンビニで買った弁当を持って屋上にでも行こうとした。出来るだけ教室には居たくない。新クラスになって一ヶ月程経つが僕が一人で行動することに既にクラスメイト達は慣れてしまっているようだった。
屋上は、日差しが直接照りつけて、もう少しすると暑くて利用できなくなりそうだった。中央に小さめの樹が植えてあって少しのどかな感じがする。誰もいないのは助かったけど、普段はカップルが逢い引きしたりしている場所だ。僕は目を閉じて、束の間の静寂を楽しんでいた。学校で一人きりになると何だか不思議な気分だ。周囲の監視による束縛から解放されて、学校なのに家みたいだ。ここで眠ってしまおうかと一瞬思ってしまった。
まあいい。さて食事にしよう。コンビニの弁当だから母さんの料理と比べると味は落ちる。黙々と焼き魚の弁当を食べた。屋上は静かだった。食べながらぼんやりと昨日の事を思い出していた。あれから帰ってからも母とは一言も口をきかなかった。母さん、疲れてたなと少し心配になった。
何となく午後の授業はすっぽかすことにした。こういうことは時々やる。鍵を開けて図書室に忍び込んだ。社交性のない根暗人間ならせめて知識だけは人並み以上に詰め込んでやろうと思ったんだ。小さい頃から本の虫だったので読書は苦にならない。むしろ唯一夢中になれるものだった。
誰もいない図書室の空気を満喫しながら、今日の所は釈迦について勉強することにした。適当に宗教のコーナーから数冊取り出す。釈迦は仏教の生みの親だ。彼は元々王子だった身分を捨てて真理を求めて修行の道を選んだ。王子としての責務も家族も全部捨てて求めたものがあったんだ。仏教には色んな宗派があるけど結局はどれも釈迦崇拝に始まって釈迦崇拝に終わるってどこかで読んだ。釈迦は最初は当時の流行に乗っかって何年も断食の苦行を続けたけど結局苦行は無意味だと知って、最終的には瞑想によって悟りを開いた。僕は自分の身になって考えてみた。自分を苦しめることが修行ではないということなのだとしたら、僕の学校生活もただの無意味な苦行ではないと言えるんだろうか?僕はどうすべきんだろうな、と考えてしまった。このままでいいんだろうか?瞑想か。試しにお腹に手を当てて目を瞑り深呼吸してみた。複式呼吸法による瞑想法。だけど3分ほどで飽きてしまった。向いてないのかもしれない。まあ瞑想には色んな種類があるって言うから焦ることはないか。ネットで調べたら誘導瞑想みたいな動画も沢山出てくるし。時計を見ると結構時間が経っていた。さてどうしよう。今はまだ授業中だろうから、図書室から出ると教師に捕まるかもしれない。まあいいや。僕はそれからもひたすら読書に時間を費やしていた。
二人の友達
放課後になった。教師に見つからないように、教室に鞄を取りに行く。クラスメイト達も残ってたけど誰も僕の事なんて気にしてやしない。まあどうでもいい。さっさと帰ろう。
トコトコと帰り道を歩きながらスマホでKindleを読んでいるとLINEがきた。蒼と百花からそれぞれメッセージが届いていた。
「月曜日怠いよねー。陽太は今日もぼっち登校?」
「やっと学校終わった。でもそろそろ中間テストだから塾行かなきゃなんだよな。陽太は今日の放課後はどうするんだ?」
僕は軽やかな気持ちになりメッセージを返す。
「今日も誰とも喋らなかったよ。養護の先生と少し話しただけ。今は授業終わって帰ってる所」
そしてスマホをポケットに仕舞った。すぐに返信がくる。時には授業中にも来ることがある。二人ともリアルに馴染めなくてネット依存症みたいな奴だからな。
二人とは、中学の頃にとあるチャットルームで出会った。当時僕は深夜までネットばっかりやっていて気まぐれで入ったそのチャットルームで、「中学生集まれ」という部屋を見つけて遅くまで入り浸っていた。そこでオーナーだった百花と勉強中だった蒼と知り合った。他にもメンバーは何人かいたんだけど僕らは文学と音楽という共通の趣味で気が合ったので三人でダラダラとよく夜遅くまで喋っていた。百花は東京に住む名門の中高一貫校に通う才女で、何でもよく知っている知識の豊富な娘だった。文学では紫式部を尊敬していた。蒼は音楽が好きで作曲もやっている多才な少年で芥川龍之介が好きな男だった。3人とも現実に折り合いがつけられず学校にも家にも居場所がなかった。百花は義理の母親と折り合いが悪くよく喧嘩ばっかりして、よく泣き言を呟いていた。蒼の所は両親とも弁護士で仕事が忙しいらしくて完全に放置らしかった。家を飛び出して公園でギターを弾いている所を補導されたこともあったらしい。僕らの住んでいる所は残念ながら遠く離れていたから、高校進学時に同じ学校に通う事は出来なかったのだけど、将来は三人で宝くじでも当てて無人島に住もうとか冗談混じりに語っていた夜もあった。碌な事が無い人生だけど、この二人と出会えた事は神に感謝していなくもない。
帰宅
家に帰っても母さんはいなかった。多分まだ仕事中なんだろう。僕は着替えて暇つぶしに受験勉強でもすることにした。中三になって、同じ高校には通えないとなった時、僕らは大学では皆で会おうと約束した。出来るだけ良い大学に行って、こんな僕らだけどせめて頭脳だけは他に負けない所を証明してやろうと誓い合った。僕達は皆灰色の青春を送っている事にコンプレックスを持っていたけど、どこか人より特別だと信じたかったのかもしれない。拭いがたい劣等感を持つ人間にはよくあることだ。
幸い勉強はそれ程苦にはならない。英文法の参考書を読みながら、所々怪しい単語と文法の知識を拾いつつ完璧なものにしていき、その後で長文読解の問題をいくつか読み解いていった。答え合わせをすると全問ではないが大体正答だったので気分を良くして次に掛かる。今度は古文をやることにした。アルファベットは若干苦手だが、国語は結構好きだ。古文の単語を覚えてこれも長文を読んで訳と照らし合わせて読解力を増していった。やっぱり古文や漢文の方が得意だな。一番は現国だけど。後で日本史と世界史もやらないとな。
静かだった。ふと窓の外を見ると、既に日が落ちていた。時計を見ると、七時を過ぎている。母さん遅いな。仕事がまだ終わらないのだろうか。まあ、顔を合わせない方が気楽でいいけど。しかし、夕飯はどうしよう。別に料理が出来るのでいざとなったら自分で作れば良いだけだけなんだけど、何となく帰ってくるのを待つことにした。
ちょっと休憩しよう、とコーヒーをいれてスマホをいじる。蒼と百花からLINEが届いていた事に気づいた。
「久しぶりにチャットでもしない?」と百花。
「僕はいいよ」
「塾終わった。陽太は勉強どうよ?ちゃんとやってるか?」
蒼も帰ってきたようだ。
「さっきまでやってたよ。今は休憩中」
「百花が久々にチャットで話そうってよ。陽太はどうだ?」
「じゃ、Skypeでいい?」
「いいわよ」
「分かった。じゃあインしておくぜ」
ポンと効果音がして、蒼と百花がログインしてきた。僕らは会議を開いて、最初は文字でチャットする。
「こんばんわー」
「よう」
「なんだか久しぶりな感じがするね」
「退屈で苦痛な一日が終わってようやくリラックス出来る時間が来たって感じだわ」
「それな」
「皆今日の学校はどうだった?」
「どうもこうもねーよ。授業中はスマホ開きながら聞き流して昼はぼっち飯で放課後になったらさっさとばっくれるだけだ。いつも通りだぜ」
「私は、今日また告白されたわ。三年の知らない人だったけど結構人気ある人だったらしくてね。体よく断ったけど、また噂になっちゃうかもしれないわ」
「へえ」
「またか。モテる女は辛いな」
「おかげで休み時間なんかは他の女子からコソコソ陰口叩かれてたわ。その内机の中にカッターの刃でも入ってそうね」
「本当男にはモテるよな、お前」
「興味のない人に好かれても仕方ないわよ」
「大変だね。僕は今日は午後からずっと図書室に籠もってたよ」
「おいおい。また授業サボったのか?」
「駄目よ、陽太。あまり問題行動ばかり起こしていると、退学になっちゃうわよ」
「大丈夫だよ。それに、ちゃんと図書室で自習してたからさ」
「まあ、陽太の学校は自由なのが売りらしいからな。ネットでの評判を見る限りは」
「蒼は塾で何やってたの?」
「今日は日本史と現国だったな。学校よりはマシな授業だったけどやっぱ家で本読んでる方が楽しいな」
それからも僕らはネット上で駄弁りあっていた。
「私、そろそろ落ちるわ。明日も早いしね。あー、学校やだなあ・・・」
「そうだな。俺も飯食って寝ねえと」
「じゃあ、またね」
二人とも表示がオフになった。結局2時間程話し込んでいた。明日も学校だな。百花じゃないけど、面倒なことこの上ない。
桜舞う、光踊る、空を飛ぶ
ひらりと車窓から桜の花びらが空へと舞い込んできた。君は一体どこから来たんだろう?これは未来という名前を付けようか・・・・。
一体この現象はどこから来てどこから来たんだろうと不思議に思ったけど、近所にこんなサクラが舞い散っている場所なんてないはずなのになと思いながら、そっと車内で寝転がっていたのだけれど、突然、僕は床からむくりと起き上がり、水を飲んだ。今日は何日だっけな?そうだ、今日から四月だった。寝てばかりいたので、時間感覚が狂っているが、暖かい春の陽に誘われて鴨川に散歩にでも行こうかという気分になった。いつまでも落ち込んでいても仕方ない。
いつもの自販機でカルピスを買って歩きながら飲む。やはりゴロゴロとばかりしていたので、体がなまっているのを感じた。まあいい、今日から普段通りの生活に戻ろう。
ようやく到着した鴨川は人でいっぱいだった。お花見をしている人達も多数見受けられる。春はいい季節だなと素直に思う。手頃なベンチを見つけて、座っては、ポケットに突っ込んだままになっている小説を開いた。いつも思うのだが、家で読むのと鴨川で読むのとでは集中力が違う気がする。家ではそんなに集中して読めない。これも自然の恵みの一つなのかもしれないなと思った。それから周囲の雑音も気にならないままに一時間程読んでいた。太宰の人間失格を何度目になるか分からないまま、他に読む気にもならず今日も読んでいた。自分も大概変人で、生きづらさを抱えていると思うのだが、太宰は大変なものだなと思う。自分はそこまでじゃないと思って何だか安心するところがあった。
4月はどんな月になるんだろうな、とぼんやりと考えた。どこか遠くへ行って、旅でもしたいなと思った。日本の美しい名所を片っ端から見て周りたい。昨日まで生きているのも嫌になって、部屋で転がってばかりいたのに、やはりまだまだこの世に未練があるようだ。せめて近場くらいゆっくり見て回るかと、鴨川を下って歩いて行った。桜が綺麗だ。子供達もはしゃいでいる。時々ギターを弾いている人がいた。何となく皆が幸せになるといいなと思った。
結局あれから、丸太町辺りまで歩いて、そこからバスで帰ってきた。帰ってきてすぐにシャワーを浴びた。鏡を見ると、何だか痩せたようだった。無理もない。この一ヶ月程、一日一食くらいしか食べなかったからな。
昼ご飯を食べる気にもならず、再びごろりとソファに寝転がって、村上春樹の小説を読み始めた。春樹の作品は読みやすくて、不思議な世界が好きだった。平易な文章だから脳も疲れなくて、休憩なしでも読める。そのまま夕方頃に最後まで読み終えて、パタリと本を閉じた。なんだか最近起きている間が苦痛だ。寝転がったまま目を閉じた。起きたくない。ずっと眠っていられたらいいと思う。だけど、やはり時間が来ないと眠る事は出来なかった。やれやれ。何でこんな苦しいのかな。生きることは苦であるというけど、僕の場合どうすれば救われるんだろうな。
久しぶりに小説でも書こうかなと思う。創作によって自らを癒やす。それが僕には必要なのかもしれない。
それから深夜にかけて、僕はパソコンに向かってパチパチと小説を書いていた。時にはドストエフスキーを時には賢治を意識して書いた。自分がどのくらいの技巧にあるのか、自分ではよく分からなかった。今度誰か知り合いにでも見てもらうかな。そのまま時々ミネラルウォーターを口にしながら、ひたすら小説を書いていった。
時刻は既に夜の2時だった。一応短編小説が完成した。小さい頃に罪を犯してしまった人間が自然と戯れたり、社会奉仕することによって自らの魂を救済する話。読書の影響だなと思った。なんだか以前に書いた時より上手くなっている気がした。ゴロゴロと転がってばかりだったが、本だけは着実に読破数を増やしていったから、一応それなりに文章が上達したらしい。ともかくも、一仕事終えたのだし、空腹感を満たしに行こう。
コンビニでパンと牛乳とプロテインバーを買って、近くの公園へと向かった。予想以上にお腹が空いていたらしく、ベンチに座って食べ始めると、この程度の量では全く足りなかった。家の近くには、お気に入りのカフェもレストランもあるのだが、この時間ではどちらもやっていない。手持ち無沙汰になり、僕は何となく夜の公園の暗闇と静けさを味わっていた。
公園の自販機でオレンジジュースを買って飲んだ。スマホを見ると既に時間は3時に到達していた。昼夜逆転はよくない。帰って葉を磨いて寝ることにしよう。
布団に入って、天井を眺めていた。何となく高校時代の事を思い出した。あの頃は今にも増して本の虫だった。そして、いつか新人賞を取るんだという意気込みで小説を書いていた。結局あれから何年か経っても、新人賞は取れていない訳だが。あの頃も僕は周りが友達とか恋人と楽しそうに笑っている中、僕はたった一人だった。子供の時から独り。大人になっても独りか。僕はどこへ行こうとしているんだろうな。
朝目を覚ますと、既に昼近かった。ともかくも夜に眠れたのは良かった。顔を洗って、朝食を摂ろうと思ったが、冷蔵庫には何も入っていないことに気づいた。まあいい。昨日に引き続き今日も外出することにした。
外は暖かかった。既に上着は要らないくらいだ。まあ、夏が来たら中々外には出れなくなるから、精々今の内に散歩を楽しんでおくことにしよう。それから軽く20分程歩いて鴨川に到達すると、それからひたすら南下していった。時々リュックからミネラルウォータを取り出して、水分補給しながら、並び咲い
ている桜の美しさに目を細めていた。鴨川を満喫するのもいいが、街中も悪くない。そしてそのまま三条まで歩いて、丸善まで歩いた。
丸善書店へ入って、本を片っ端から読んだ。久しぶりの本屋は楽しい。気がつくと何時間も本を読んでいたみたいで、既に夕方に差し掛かっていた。
帰り道、来た道をそのまま遡って歩いていた。
結構な距離だ。これだけ歩いたら、今日はぐっすり眠れるかもしれない。そうなるといいなと思いながら、河原を歩く。無心になってただ歩く。鬱々とした日々が何だか馬鹿馬鹿しく思えてきた。こうやって少し踏み出したら、気が晴れる手段があるというのに。僕はどうしてあんなに毎日ゴロゴロとばかりしていたのだろう。大学を去らないといけなかったのは残念だが、今日みたいに本を読むことは出来る訳だしな。大学だけが勉学の全てではあるまい。そう思った。
少し疲れたので、ベンチに座って鴨が泳いでいる川をぼんやりと眺めていた。夕方だから少し肌寒かった。さすがに花見をしている人もそろそろ見えなくなりはじめている。僕は今日読んだ本の内容を回想していた。あの世の仕組みとかいう本だった。人は死ぬと肉体がなくなって、色んな欲望がなくなるらしい。綺麗になりたいとか美味しいものを食べたいとか。また、死ぬと映像で自分の人生を振り返るらしい。殺人を犯した人は殺された人の痛みとか苦しみとかを見続けるらしい。自殺した人は何度も何度もその死んだときの苦しみを行ったり来たりするのだとか。それとは逆に、善行を積むと来世とか死後でいいところへ行けるらしい。善行ってなんだろうな。ボランティアとかすればいいのかな。僕も殺人は犯していないけど、色々悪行はやってしまった気がする。死んだらどうなるんだろうな、僕は。本に夢中になるのも善行なんだろうか。誰かのために僕は何が出来るだろうか。
そんなことを考えると、ふと向かいの方から心地よいギターの音色が響いてきた。川の向かい側を見ると僕と同じくらいの年齢の女の子がギターを巧みに弾いていた。何の曲からは分からないが、落ち着く音色だ。鴨川にはたまにこういう人がいる。楽器を弾いて歌っている。丁度良いから、ここで聴かせてもらおうと、腰を落ち着けて、彼女の演奏を聴いていた。自分は文学も好きだけど、音楽も好きだった。なかなか生の演奏を聴くことは出来ないが、今日は良い日だと素直に思えた。時折風が体を撫でてゆく。既に聴き始めてから一時間くらい経っている。熱心なものだな。
夕方くらいになって、少し肌寒さを感じたので、名残惜しいながらもそろそろ帰ることにした。僕もギターを買って、鴨川で演奏溶かしてみたいものだ。
ブルースター
英文法の参考書を傍らに置いて、少し休憩することにした。時計を見ると、丁度一時間くらい勉強していたことになる。国語に比べて英語はどうにも苦手だった。まだまだ長文読解で躓いてしまうことが多い。
コポコポと電気ケトルから紅茶を煎れて、誰もいないリビングで少し休憩することにした。受験勉強なんてさっさと済ませてしまって、好きな文学を読みふける時間に戻りたい。最近疲れているのか、そんなことを考えるようになった。7月だから、本番までは後半年ほどある。ちらっと時計を見ると10分程経っていた。さて、次は日本史の勉強でもしますか。
山川の教科書を片手に論述問題をやっつける。センターなら大体正解できるのだが、2次試験の問題にはまだ充分に正解できない状態だった。もっと教科書読み込まないとな。まあ、まだ半年あるから何とかなるとは思うが。それからしばらく日本史に加え、世界史とも格闘しつつ、いつものように、母が帰宅するまで勉強していた。
「ただいまあー」
母さんが帰ってきたようだ。僕は勉強を中断して階下に降りる。
「お帰り」
「悟。今日のご飯、お母さん疲れたから、どこかで食べてきてくれる?」
母さんは出版社に勤めていて、たまにこんな風に疲労困憊で帰ってくることがあった。
「分かったよ。お金頂戴」
「はい。これ」
5000円貰って、余った分は本でも買おうかなと思った。何か息抜きになりそうな、文庫本でも買ってこよう。
昼間集中して勉強していたので、夕方からはちょっとゆっくりと好きな事でもやろうと思った。ツイッターを開く。
「今日は外食です」
すぐにリプライが返ってきた。
「いいなあ。何食べるの?」
智花だ。
「奢るから一緒にパスタでも食べないか?一人で食べるのもなんだし」
「勉強教えてくれるならいいよ」
「分かった。じゃあ、駅前のサイゼリヤで待ち合わせな」
とある読書家の話
人間よりも本が好きだ。その事に僕が気がついたのは23の時だった。思い返してみれば、今までどんな人間にも共感を感じたことがなかった。それは僕が特別なんだろうと思っていた。だけど、もしかしたら僕は人の姿をした人でない何かなのかもしれない。とにかく、人に何かを期待するのはやめた。会うのもやめた。僕は完全に一人きりで世界を楽しむことにした。
それから僕は対人のストレスでうつ病となり、毎日死ぬことばかり考えて生きていたのが、嘘のように毎日外を自由自在に行き来し、読書に芸術にたまに山に登ったりもして、自由に楽しく生きられるようになった。思えば、これは一つの試練のようなものだったのではないかと思う。僕という存在が人に見切りをつけて、たった一人で生きる覚悟を決めるための。それは時間のかかることだったのだと思う。苦しい時は誰かにすがりたくなってしまうものだ。でも、そこを通り越して、どんな時でも誰にも何も期待しない。いつしか僕はそんな生き方を誇りに思うようになっていた。
最近は朝の5時位に起きて、山に登りに行く。バスに揺られること30分くらいで着く。朝の山頂の景色を充分に堪能してから、ゆっくりと山の雰囲気を味わいながら、下山して、疲れた体で眠りそうになりながらバスに揺られ、家に帰る。
帰ってから軽く何時間か読書してから、図書館に行く支度をする。今の所僕にとって一番重要なのが図書館に通うことだった。本が僕の心支えだったから、家に常に読む本がないといけないくらいだ。そして、自転車に乗って、府立図書館まで通う。最近のジム通いのせいか、体力が増して、片道30分の走行が大して負担にならなくなっているのはいい傾向だった。いつも開館と同時に入れるくらいに時間を調節して訪れるので、今日もまだ大して人が入っていない状態で席も楽に取れた。単行本を5冊程選んで、席について集中して読んでゆく。飽きたり、面白くなかったりすると、別のものに取り替えに行く。この図書館もそう蔵書がある訳でもないが、少なくとも京都では一番マシな部類だ。今の所まだ読む本はあって、それはありがたいことだ。それから、5時間程、時々目を休めたりしながら、読書に没頭していった。文章を追うことで、心が浄化されてゆくのを感じる。良書にはそういう力があると僕は信じている。今日は主に文学作品を中心に読んでいた。漱石とか川端とか。どちらも別にタイプという訳ではないのだが、一応名作だからということで。三四郎を読み終えて、一段落したことだし、次は宗教関連の本を読もうかなと思っていると、途端にお腹が空いてきた。朝食にバナナとヨーグルトだけだったから、お腹の減るペースも早くなってしまったのかもしれない。席をそのままにして一旦外に出た。ベンチに座り、さてどうしたものかと思う。本音としてはまだ閉館まで4時間程あるし、このまま読書に励んでいたいのだが、肉体の方が空腹を訴えて言うことを聞きそうにない。仕方ない。何か食料を買ってきて、このベンチで食べさせてもらうとしよう。確か近くにスターバックスがあったはずだ。
名前のよく分からない、安めのパンのようなものを注文してさっきのベンチに戻った。
鳩が群がっていた。さっきはいなかったのに、まるで僕が帰ってくるのを待っていたように。追い払いながらベンチに座って、袋を開けて、早速食事を開始した。うん、美味い。最近富みに鋭敏になっている僕の舌でも、このパン生地は美味しいと思えた。運がよかった。最近ハズレの食事ばかりだったから。それにしても、鳩が食べこぼしを狙って足元に群がってくる。僕は欠片を向こうに放って、鳩を引き離そうとするが、数匹向こうへ行っただけで、後はエサをねだってくる。鳩か。子供頃一緒によく遊んだっけ。
懐かしい気分になったので、半分程パンをちぎって、粉々にして、一気に振り撒いてやった。鳩は一斉にパンをついばみ始める。僕も残り半分を食べる。いいな、この場所。程よく自然もあって、図書館もある。読書に疲れたら、こうしてリラックスすればいいんだ。雨が振らなければ毎日でも来たい。
予定通り、休憩した後は席に戻って、残りの2冊を読んでいった。活字を追うごとに、脳に心地のよい快感が与えられるような、どんどん意識が研ぎ澄まされてゆくような作用を感じる。僕が読書を生きがいとしているのは、勿論知識を獲得するということもあるけれど、こうした、精神安定作用を信頼しているという面も大いにあるのだった。
7時になり図書館は閉まる。家で夜読む本も必要だから、借りるものを選びにゆく。今日で文学と仏教系のものは大体読んだから、借りるのは美術系のものにしよう。ダビンチとラファエロの本を何冊か借りて、図書館を出た。さて帰るとしよう。
帰りのバスの中で夕飯どうしようかなと思う。確か冷蔵庫には何も残っていなかったはずだ。
結局最寄りのスーパに寄って、管理栄養士監修のお弁当をいつもの如く買って、それを晩ごはんに食べた。そして、飽きずに家でも借りてきた本を読む。2時間も読んでいるとさすがに体が疲れてきて、眠気がやってくる。風呂に入って、ソファでごろごろしていた。僕は不眠症の気があるので、眠くなっても結局眠れない事が多い。疲労で本を読む気にもなれず、さりとて、布団に入る気にもなれない。だから、そのままゴロゴロと寝転がっていた。しかしそうすると、色んな事が頭を巡ってくる。思考がとまらなくなる。
誰にも期待せず、僕は一生たった一人で生きていくんだろうか?人間以外のものって何があるんだろうなあ。神様とか天使とか妖精とか見えたらいいけど、僕には見えないし。苦しい時に何を支えにして、何で回復したらいいんだろうなあ?まあ、いいか。読書で順調に回復していっている。僕はきっとだいじょうぶなんだ。何も、心配することは、ない・・・・。そこでこの日は眠ってしまった。
日記兼読書感想 2021/07/07
こんばんわ、静悟です。今日は予定通り、雨の中あの後で図書館へ行ってきました。図書館空いてました。やっぱり雨の日は皆外出したくなくなるのでしょうか。しかしいつもの帰り道で帰りのバスは滅茶苦茶混んでいて、こんなにも道が本当の意味で混んでたのは初めてじゃないかってくらい混んでました。
今日借りてきたのは3冊。アンデルセン童話集1巻と、千夜一夜物語と、はてしない物語。最初に読んだのは、はてしない物語だったのですが、正直好みじゃなかったので、数ページで読むのは止めにしてしまいました。
よって、他の2冊を家では主に読んでました。アンデルセンは最初のおやゆび姫の話が一番気に入りました。王道のストーリーですよね。不幸な境遇の女の子が色々苦労したあげく、最終的には王子様とハッピーエンドになるという。
おやゆび姫の場合は王様だったでしょうか。こういう救いがある話は好きです。
童話が好きだなあと最近は思っているのですが、やっぱり賢治の銀河鉄道の夜より好きな童話にはめぐり逢いません。やっぱり賢治こそ至高の才能の持ち主だなあと改めて最近思っています。
色々な本を読んで勉強する毎に賢治の凄さが再認識されてゆくような感じ。
所であの後あとがきで知りましたがアンデルセンも結構大変な人生だったようですね。
非常に貧しい家の生まれで、父は早く亡くしてしまって、15歳で演劇に興味があって故郷を離れたとか。元々は作家を志していた訳ではなかったんですね。でもお母さんはアンデルセンを誇りに思っていて、アンデルセンも母を大切に思っていたとか。その辺りは羨ましいと思いました。
千夜一夜物語は正直西洋の文学の方がまだ馴染めるかなあと思って、そのうち読むのやめるかもしれませんが、今日のところは、本の最初の何ページかは読みました。まだ検討中です。
帰ってきてからはそんな感じだったのですが、図書館では武者小路実篤の全集をひたすら読んでました。といっても、3時間程度ですが。タイトルは忘れてしまったのですが、鶴という女性に主人公が恋慕している話だったと思います。それと友情も少しだけ読みました。
図書館には文学全集が必ず置いてあるから、便利ですよね。ひとまずは、それらを読んでいこうと思っています。
童話もいいけど、文学もそれはそれでいいものです。後、文学以外の芸術にも興味があって、今日はちょっとだけ美術の本も読んでました。モネとかルノワールとかゴッホとかをまとめた、美術の歴史みたいな本です。
正直絵に関してはまだまだ何も知らないのですが、今後もっと勉強していけたらと思います。今日は帰り道のバスでかなり疲労してしまったみたいです。HSPは人混みに弱いということでしょうか。それでは、今日はこの辺りにしたいと思います。おやすみなさい。